梨と食育の健康コラム

  梨の栄養価と健康

秋の代表的なフルーツと知られている梨ですが、船橋市は全国有数の梨の生産地です。船橋市では「香水」「豊水」「新高」の3種類を中心に生産されています。シャキシャキ・シャリシャリした触感とみずみずしい甘さは梨の特徴です。

梨特有の食感

梨特有のシャリシャリとした食感は、ペントザンやリグニンという成分からできた「石細胞(せきさいぼう)」によるものです。石細胞は、はじめは種子の周囲に多く含まれていますが、実が熟すのに連れて全体へ広がっていき、シャリシャリとした食感を生み出します。

梨の栄養価と健康効果

梨のエネルギー量は、100gあたり43kcalであり、バナナ(86kcal)、かき(60kcal)、ぶどう(59kcal)、りんご(57kcal)と比べて、低エネルギーです1)。また、梨に含まれている「ぶどう糖(グルコース)」の量は、ぶどう、かき、バナナに比べても低いので、血糖値が気になる方にもお勧めできます。低エネルギーの梨ですが、カリウムはほかの果物と同様に含まれています。カリウムは、体内に貯留した食塩を水分とともに尿として排出する作用を持っており、むくみの改善や高血圧を予防する働きを持っています。シャリシャリとした食感を作り出している「石細胞」は、人間の胃腸では消化されず、食物繊維と同じ様な働きがあり、腸を刺激し便通を良くするなど整腸作用があると言われています。

梨の皮をむくとすぐに褐変をしていまいますが、この褐変にはポリフェノール系の化合物によるものです。梨のポリフェノールにはアルブチン、クロロゲン酸が含まれており2)、これらのポリフェノールには、美白効果としてのメラニン生成の抑制、糖尿病の予防効果、食後の血糖上昇の抑制効果、アンチエイジング効果があることが最近の研究で報告されています。

梨にはたんぱく質を分解する消化酵素のプロテアーゼを含んでいます。生の状態ですり下ろしたものを焼肉やプルコギなどの漬け込みだれとして調理に使えば肉を柔らかくする事が出来るだけでなく、食後のデザートに梨を食べる事でたんぱく質の消化を助ける働きがあります。

梨は、ほかの果物に比べても低エネルギーであり、美白効果、整腸作用、血糖上昇抑制効果などが期待できますが、食べ過ぎには十分注意してください。

<参考文献>
1)日本食品標準成分表2015年版(七訂)
2)菅原ら.日本なし果実のポリフェノールおよびラジカル消去活性の熟度による変化.日本食品科学工学会誌.第60号.第9号.P60-64 (2013)

和洋女子大学家政学部健康栄養学科 准教授 
管理栄養士、博士(医学)
多賀昌樹 氏 
ふなばし食育ネットワークアドバイザー

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